弁護士A先生は弁護士としての知識か経験等に基づく書籍を出版、書籍の印税を事業所得の収入金額、書籍の広告費を事業所得の必要経費として申告した。
税務署は弁護士A先生の印税を執筆活動を業として継続反復していないこと、執筆活動は本業の付随収入でもない事を理由に雑所得と判断し、印税の額は雑所得の収入金額、書籍の広告費は雑所得の必要経費として計算して更正した。しかし、H15/3/11国税不服審判所の裁決ではA弁護士の印税収入、書籍の広告費共にそれぞれ事業所得の収入金額、必要経費となると判断した。
弁護士としての職務は、弁護士法に規定されているものだけには限らず、講演料、出演料、印税、原稿料等の収入も弁護士としての立場で行われたもの、あるいはその内容が弁護士としての知識や経験に基づくものであれば、事業所得以外の所得であると明示されているものを除いて事業所得である。
この著作物の内容は、多重債務者に対する債務整理の方法を紹介した著書であり、その内容はA弁護士の弁護士としての知識と経験に基づいて書かれたものである。出版社との契約で印税は、出版部数に応じて支払う。となっており、A先生が広告をするしないにかかわらず決まった額で支払われる事になっていた事からこの著書の広告は、本の販売促進を直接目的とするものではない。本の広告宣伝費は印税収入より著しく多額であり、本の販売促進を通じて弁護士としての知名度を高めるものでありいずれにしても広告費は事業場得の必要経費であると判断された。
判決 裁決事例はすべて税務調査にあたって納税者と税務当局との判断に非違があった場合の事例です。
このコラムの記載に当たっては実際の決定内容を簡素化して記載しています。
申告に当たっては、裁決 裁決の原文の事実をご確認、専門家と十分申告内容をご確認の上、自己の責任においての申告をお願い申し上げます。