65歳以上の2人以上世帯 平均消費支出は2016年総務省の統計では249,063円です。これは、元気で自分の生活を夫婦二人で賄う場合の通常の生活費です。
サラリーマンが通常加入する、厚生年金は勤務時代の報酬額に応じて勤務している間、雇用者と折半で保険料を掛けていますので、それぞれの皆さんの勤務期間の報酬によって支給される年金額は変わります。現在の年金支給額の計算は仮に最高額の報酬で(現在政府管掌の厚生年金の最高等級は62万円です。初任給から62万円というのはあまり現実的ではありませんが)40年間保険料を掛け続けたと仮定して支給される最高額は、年間262万円(月額218,333円)となります。これに、夫婦二人とすれば奥様の基礎年金月額64,941円を合わせると283,274円。この数字ですと、何とか通常生活費は賄えそうです。しかしこれは理論上の最高額での計算で、実際厚生年金の受給額は夫婦2人の基礎年金を含めて221,277円(厚生労働省 平成30年 報道資料)が、標準的な年金額となっているようです。
自営業者は、基本的に国民年金だけが加入義務のある年金となっています。国民年金のみの加入ですと、平成30年現在加入義務のある期間40年間すべて保険料を支払ったとしても、受給できる年金額は月額64941円仮にご夫婦2人共が満額支払っていても月額 64941円×2人分=129882円 これではとても老後の生活には足りません。一昔前ですと、開業医の先生の老後生活資金の設計を考える場合、公的年金の受給額は計算にいれませんでした。受給したとしても、お小遣い程度であればあったでいい。という程度で。むしろ、医師年金等も予定利率がよかったのである程度掛けておくと、私的年金と貯蓄だけで老後の生活の設計は完成させる事ができました。しかし現在、私的な年金を掛けても運用利率は低く、将来のインフレの危険性を考えるとより有利な資金運用をご自身で考えるというのは、自営業者の行うべき重要なリスク管理の1つであると思われます。
小規模企業共済は、自営業者にとって有利な節税対策であると共に将来の生活資金の準備としても加入して損はない制度であると思われます。掛け金はすべて所得控除(簡単にいうと事業の経費と同じ効力を発揮する。とお考え下さい。)の対象となりますので、年間最高7万円(月額)×12カ月=84万円の所得控除を受けられます。これに現在ご負担の税率
をかけて頂くと、その年の所得税の減税額が計算できます。住民税の減税額は一律10%ですので、例えば課税所得金額(その年の所得金額から各種所得控除額を控除した金額)1000万円の先生は84万円の小規模共済の掛金を支払うと84万円×(33%+10%)=361200円(説明を単純化する為復興所得税分の税額は無視しています。)支払税額が減少します。小規模共済には、現在「共同経営者」として専従者も加入する事が出来るようになりました。この場合支払った共済掛金は専従者の所得控除となりますので、専従者の税率によっては、先生ご本人程の節税額は見込めません。只、ご夫婦の引退後の資金の準備としてはご一考の価値はあると思われます。
国民年金基金は、サラリーマンと違い国民年金(基礎年金)のみにしか加入できない為、老後資金の準備に不足が出がちな事業所得者向けの公的年金です。支払い年金額は、小規模共済と同じく全額所得控除の対象になりますので、支払時代の税効果は小規模共済と同じ効力を発揮します。専従者の加入も可能で、支払保険料は社会保険料控除として保険料負担者の所得控除の対象なります。節税額も先生が保険料を負担する事で事業主の税率を使える事になり節税効果は大変大きくなります。国民年金基金はこれまで47都道府県の地域型国民年金基金と22の職能型国民年金基金にわかていましたが、医師国民年金基金は平成31年4月に合併され「全国国民年金基金」となります。
自営業者は、これまでも加入可能だった確定拠出型年金(日本版401K)がiDeCoの愛称で2017年から加入対象を大幅に増やしました。これは、これまで一般的だった他人まかせの年金運用から自己責任(選択)の年金運用に。という日本人がこれまで当然と考えていた、老後の資金は「まじめに働いていれば国が考えてくれる。」というスタンスからの脱却が促されている。と思った方がよさそうです。掛金は国民年金基金(国民年金の付加保険料を含む)と合わせて月額6.8万円が最高額となります。iDeCoの掛金として支払った保険料は全額「小規模共済等掛金控除」として小規模共済や国民年金基金と同様に所得控除の対象となります。但し、申込みの金融機関によっては管理手数料が発生します。せっかく、税効果で税金が安くなっても高額な手数料を支払ってしまうとその分運用資金が減ってしまいます。スタートから自己責任と自己選択で有利な運用を選択してください。
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